スクウェア・エニックスは4月14日、『Final Fantasy 16』の新映像を「States of Play」で公開した。25分にのぼる動画内では、プロデューサーの吉田直樹氏がバトルやシステムに関する詳細を解説。主人公クライヴの躍動感溢れるアクションを中心にPlayStation5による大量の実機映像が披露されている。
さて、今回のエントリーでは「States of Play」と先月行われた「PAX East 2023」の内容を踏まえ、『Final Fantasy 16』とは一体どんなゲームなのか主な要素をピックアップしていく。本作が気になっているユーザーは良かったら参考にして欲しい。
『Final Fantasy 16』はスクウェア・エニックス社の看板タイトル『ファイナルファンタジー』シリーズの最新作。前作の「やっぱつれぇわ」が2016年に発売されて以来、じつに7年ぶりのナンバリングタイトルとなる。本作ではヴァリスゼアという世界を舞台に、歴代シリーズでお馴染みの召喚獣を宿すドミナント達の戦いが描かれる。
主人公にしてロザリア公国の第一王子のクライヴもその一人。ロズフィールド大公家の嫡男として生まれるも、フェニックスのドミナントとして覚醒せず、その役目は弟のジョシュアが担うことに。やがて大きな悲劇に巻き込まれ惨劇を起こした召喚獣の黒きイフリートを追う復讐者となる、というのが『Final Fantasy 16』の大きなあらすじだ。
「PAX East 2023」のパネルディスカッションにて、本作のコアとなるストーリー・キャラクター・グラフィック・バトルシステムに関する説明が行われた。吉田直樹氏が”原点回帰”と話す通り、本作はファイナルファンタジーらしいハイファンタジーの世界観で描かれ、謎や政治的な要素を取り入れた奥深い物語になっているとのこと。これだけ聞くと完全に大人向けのようにも思えるが、これまでファイナルファンタジーに触れてこなかった若い世代についても楽しめる内容だとしている。物語を彩る登場人物についても主人公のクライヴを筆頭に、いろんな価値観や脅威が様々な登場人物の中で入り乱れる壮大な群像劇となることがわかっている。
物語中にクライヴの成長に関しても描かれ、少年期・青年期・壮年期と異なった年齢を通して、壮絶な彼の戦いをプレイヤーは体験することができるとのこと。「States of Play」にてゲーム本編は青年期からスタートし、壮年期へと進んでいくことが明らかになっている。少年期については主に回想シーンとして登場するが、こちらも実際に操作できるとのことで、どの年代のエピソードでも没入感を損なわずに遊べそうだ。
続いて、本作のマップについてピックアップしていく。『Final Fantasy 16』の世界ヴァリスゼアではエリア制が採用されている。昨今、最もメジャーなオープンワールド制ではないものの、ゲーム内には巨大なワールドマップがいくつも用意されており、プレイヤーは広大な世界を冒険することが可能だ。また、マップ以外にも本作には様々な構造のダンジョンが実装されている。
よりマップのシステム面に関して言及すると、物語の進行に準じて目的地が開放されていきアクセスできる場所が増えていく。マップ内には旅の拠点となる場所もあり、ポーションといったお馴染みのアイテムの購入から、装備品の強化、サイドクエスト※14でお馴染みのリスキーモブもあるよ!を受けられる。冒険が一区切りすると拠点に戻り、旅の準備をして再び次の目的地へ向かうといった流れのようだ。各目的地にはワールドマップを開き、直接ファストトラベルで移動することができる。となると気になるのが移動完了までのロード時間だが、そこはさすがPlayStayion5と言うべきだろう、マップの読み込みから完了までの時間は非常に短く煩わしさを感じずに冒険を楽しめる。
RPGにおいてバトルが重要なのは言うまでもない。どれだけ世界観の構築やストーリーが優れていても、『Final Fantasy 16』がビデオゲームである以上、やはりプレイの中心はバトルだ。本作には大きく分けて「召喚獣アクション」「召喚獣合戦」の2つのバトルが用意されている。どちらもこれまでのFFを凌駕するハイスピードアクションが特徴だ。「PAX East 2023」にて吉田直樹氏も『グラフィックやバトルシステムに関してもPS5のパワーを使い、最高峰かつ拘り抜いたリアルタイムバトルに仕上がった』と話している。
「召喚獣アクション」では、クライヴの姿のまま召喚獣のスキルを駆使した戦いを楽しむことが可能だ。クライヴ自身はイフリートのドミナントであるものの、シヴァ・ラムウ・タイタン・ガルーダ・バハムート・オーディン・フェニックスなど様々な召喚獣の能力を使うことができる。召喚獣はクライヴの旅の進行にあわせて開放されていくが、召喚獣スキル自体は主に敵を倒すことで得られるポイントを使って覚えていく。各スキルの仕様も多彩でコンビネーションも無数にあるとのこと。アクションRPGならでは爽快感溢れる戦いに仕上がっている。
となると、アクションが不得意な場合バトルが非常に困難になるではないか、と懸念する方もいるかもしれない。そこで紹介したいのが『Final Fantasy 16』に実装されている「ストーリーフォーカス」という機能だ。有効化することで、本作の爽快感をそのままにアクションを簡素化することができる。また、本作の難易度調整は一律ではない。装備するアクセサリによって、コンボの自動化、オート回避、といった具合に変更できるほか、上の画像のように回避の瞬間にゲーム内がスローモーションになるなどカスタマイズ制に富んだオプションも備わっている。プレイヤー自身が最適な難易度に調整してゲームを楽しむことが可能だ。
そして、バトルのもう一つ大きな柱となるのが「召喚獣合戦」。こちらは上で紹介した「召喚獣アクション」とは違い、クライヴ自身が召喚獣となり戦うことができる。召喚獣のカットシーンと言えばこれまでもFFの大きな醍醐味の一つだったが、今作ではその興奮をそのままに自分で操作可能だ。カットシーンからバトルまではシームレスに移行するなど、非常に没入感の高い作りとなっている。
「召喚獣合戦」については、本作でも特に大きな見どころの一つと言うこともありバトルの展開や形式も様々だ。バトルはフェーズごとに構成されており、進捗に応じてハリウッド映画のようにドラマティックに展開していく。形式に関しても格闘ゲームのようなオーソドックスなアクションから、シューティング調のものまで実に多彩だ。もちろん、これらは現状公開されている情報に限った話で、実際のゲームプレイではさらに多くの驚きが待っていることは間違いないだろう。
7年ぶりのナンバリングタイトルとして満を持してリリースされる『Final Fantasy 16』。世界観、ストーリー、バトル、どれを取っても本作が現状のスクエニが持つリソースと、PlayStation5の性能をフルに発揮した超大作であることは間違いない。その証拠にPlayStationもといSonyは『Final Fantasy 16』のプロモーションを積極的に行っているほか、主題歌に関しても同社のアーティスト「米津玄師」を起用している。「PAX East 2023」でも吉田直樹氏が最初に述べていた通り、若い世代に向けて本作を遊んで欲しいという意図も大いにあるだろう。
というのも、Final Fantasyは長らくファンの期待に応えられなかった背景がある。筆者の時代には7.8.9.10.11.12と定期的に良質なタイトルが展開されてきたものの、以降の13から展開されたプロジェクト「ファヴラ ノヴァ クリスタリス」あたりから平気で遅延するは、面白くないは、連作になるは、待ちに待った15が「やっぱつれぇわ」※つれぇのはこっちのセリフだよ…と散々だった。そんな暗黒時代において唯一評価できる新生FF14※旧14じゃないよ!田中Pお元気ですか?を開発した吉P率いる第三開発事業部が『Final Fantasy 16』を手掛けている。正直期待せずにはいられない。たのむたのむたのむ。
あまりFFに触れてこなかった世代向けに補足すると、ナンバリングタイトルであるものの、『Final Fantasy 16』を含めストーリーは各作品で独立しているので過去作をやる必要は一切ない。本作から入ってもしっかり楽しむことができるので安心して欲しい。また、FORTNITE、APEX、VALORANT、原神などなど、良質で完成度の高い無料ゲームが溢れるこの時代に、いきなり1万円近いゲームを購入するのは勇気がいることだろう。しかし、その点についてもおそらく大丈夫だ。現状正式なアナウンスは出ていないが、発売日の2週間前あたりで体験版を出すことがウワサされている。じっくり体験版をプレイしてから本作を購入するか否か判断しても遅くはない。
『Final Fantasy 16』は2023年6月22日に発売予定。対応プラットフォームはPlayStation5となっている。