RiotGamesは4/20、VALORANT公式サイトにて『パッチ4.08でのジェットの変更について』を公開しました。本投稿では、次回パッチにてジェットの核とも言えるスキル-テイルウィンドの弱体化が明らかに。これまでの即時発動する仕様から、事前に1度キーを入力後に再入力する仕様へと変更されることが判明しています。
また、記事内にて『ジェットの圧倒的な力』に関する考え方についても言及されており、「ジェットのスペックに対して現状対抗できるエージェントが居ないこと」や「チェンバーやレイナのように戦略的な決断がない事」など、パッチ4.08で行われる仕様変更について開発の方針を具体的に説明しています。
We love what Jett brings to the roster, but some of her impacts on the game have pushed beyond VALORANT’s core tactical cycle in worrisome ways. So, we’re adjusting her Tailwind in Patch 4.08 to address this concern.
Read more on these changes: https://t.co/Pkvj4eRUAe pic.twitter.com/iuWSWRAjcs— VALORANT (@PlayVALORANT) April 20, 2022
※以下、公式サイトより引用
皆さん、こんにちは。VALORANTでエージェントデザイナーを務めているAlexander Mistakidisです。今回の記事では、エージェントデザイナーのJay Watford、ゲームデザイナーのSal Garozzoと一緒に、ジェットの今後の変更についてお話します。
今年の初めに、これまでよりも多くのエージェントの調整を行うことを約束しました。数パッチが過ぎた今、多くの方がジェットはどうなるのだろうという疑問をお持ちなのではないかと思います。実際のところ、ジェットの調整にはしばらくの間取り組んでおり、ベストな方法でアプローチするために時間をかけていました。ゲームの健全性、そしてジェットを使うプレイヤーの皆さんにとって、正しいことをするためです。この記事では、変更を行う理由とその背景をより詳しく解説していきます。
ジェットの圧倒的な力
ベータ期間中は最も弱いエージェントの一人と評価されていたジェットが、今やほとんどの構成で欠かせない主戦力へと進化したことには驚きを隠せません。圧倒的なテクニックによる印象的なプレイでディフェンスを突破しキルを獲得するジェットは、多くのチームに愛されています。しかし彼女がゲームに与える他のいくつかの影響は、気がかりな形でVALORANTの核となる戦略サイクルを超えるものとなっているのです。
この問題に対応するため、パッチ4.08でジェットの「テイルウィンド」に調整を施す予定です。
- テイルウィンド
- アビリティーキーを押すと、そのすぐ後から12秒間の間、再入力によってすぐにダッシュできる状態に
- 「テイルウインド」のチャージはダッシュまたは時間経過により失われ、2回キルを獲得することで回復する
今回の調整でジェットはダッシュを活かした大胆なプレイをする前に戦略的な意思決定をすることが必要となり、それによって彼女を戦略サイクルの中に戻したいと考えています。これにより、他のプレイヤーはジェットが計画的な決定をした際に、それを明確に理解することが可能になるはずです。プレイヤーの皆さんがジェットの新しいダッシュに慣れる必要性が生まれますが、彼女のアイデンティティーを維持しつつゲームの健全性を高めるためには、これが最適な方法だと考えています。ジェットのダッシュについては何通りものプロトタイプを開発し、テストしましたが、納得のいく結果は出ませんでした。ダッシュのアビリティーボタンを2回押す必要がないものも開発しましたが、その分操作があまり直観的でなくなってしまいました。中には操作感が良いと感じられるものもありましたが、目標である「ゲームの健全性の問題」が解決できている確証が持てませんでした。
プレイヤーがジェットを使いこなしていくにつれ、彼女のダッシュは戦略サイクルに不健全な影響を与えることが分かってきました。この問題を解決することは非常に重要だと考えています。
ジェットのダッシュで見つかった主な問題点は以下の通りです。
- ダッシュには前提となる条件がないため、戦略的な決断をせずともすぐに逃げることができていました。設置を必要とするチェンバーや、キルを必要とするレイナとの違いを考えてみてください。この自由度によって、ジェットは制限なく常に間合いを確保し、正常とは言えないほど強力なポジションを保つことが可能になってしまったのです。このプレイパターンは他のエージェントには真似のできないもので、特に高MMR帯やプロのプレイにおいて、相手に極度のプレッシャーをかけることを可能にしてしまいました。
- この計画的な意思決定の欠如によって、ジェットが他のエージェントが遵守している戦略サイクルから外れてプレイしているように感じられたのです。他のエージェントでプレイを成功させるためにはゲームセンスが必要です。しかし彼女はダッシュによって自分の戦略的なミスを無効にできてしまうため、それが必要とならない場面が多すぎました。
- 「コントローラーエージェントの変更について」でお話ししたように、私たちのデザイン哲学の中核の一つとして、「エージェントとは尖った存在で、互いに比較した際に明確な長所と短所の両方を持つ」ということを挙げています。攻撃時にはサイトに飛び込んでキルを獲得する強みを持ち、防御時には制限なしの逃げの手段を持ちつつオペレーターでアングルを確保できるジェットには、大きな長所はあるものの、短所がほとんどありませんでした。ですから、攻撃時の攻めの力はできるだけ残し、防御時の力を抑えたいと考えています。
- 高度な連携プレイであっても、彼女に対する戦略を練るのは非常に難しいです。即座に逃げられるうえに煙玉も投げられる彼女に、他のエージェントが対抗する術はほどんとありません。
全体として、私たちはジェットにパワーを発揮する瞬間とダッシュの力を与えつつ、彼女に対する有効な対処法が作られること、そしてジェットを使うプレイヤーがアビリティーの使いどころについて深く考えることを望んでいます。
なぜこの方法を選ぶのか?
エージェントを弱体化した際によく聞かれるのが、なぜ他のエージェントを強化するという方法を取らなかったのか、という質問です。ジェットの反応性の高いアビリティーは、他のエージェントと比べ圧倒的で、ゲームの核となる戦術的な公約を圧迫しています。ですので、他のエージェントをそれに合わせるというのは危険だと考えました。
戦略的サイクルを健全に保つためには、エージェントが全体として、ガンプレイやマップに対してバランスの取れた状態であることが大切です。そのサイクルを壊しているエージェントに合わせて他のエージェントを強化することは、短期的な解決にしかならず、VALORANTにとって重要な戦術的な公約を損なうことになります。簡単に言えば、ゲームの整合性と戦略的サイクルを維持し、バランスを保つことが私たちの目標です。(VALORANTのバランス調整方法をご覧ください)。
そして、これは既存のデュエリストのバランスだけの問題ではありません。ジェットの能力は、デュエリストプレイヤーにとって魅力的な選択肢となる、新たなデュエリストの開発を行うことも困難にしていました。また、他のエージェントとのバランスを取るのが難しくなることもありました。例えば、パッチ4.08のリリース前、私たちはソーヴァの弱体化について懸念がありました。彼のユーティリティーは、多くのプレイヤーが連携プレイでジェットに対処する際の鍵となる要素だったからです。ですから、ジェットに合わせてゲーム全体を作り変えるのではなく、彼女のダッシュの能力を調整する必要があると判断しました。
ジェットの今後について
私たちの願いは、ジェットが正しい判断と行動をすれば、今回の変更後も以前と同じようなパワフルさと高い反応性を感じられることです。他のエージェントに少し余裕を持たせながらも、ジェットが独自のポジションを保てるようにし、VALORANTの核となる戦術的な公約を守っていくことを約束します。
これらの変更が的外れでなかったことを確認し、皆さんにより良いプレイ体験を提供できるよう、これからも皆さんの意見に耳を傾けていきます。最後までお読みいただき、ありがとうございました!