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『Escape From Tarkov』最新パッチでAIの挙動が調整。“理不尽エイム”によるフラストレーション改善へ

『Escape From Tarkov』最新パッチでAIの挙動が調整。“理不尽エイム”によるフラストレーション改善へ

ハードコアFPS『Escape From Tarkov』に最新パッチが適用され、これまでプレイヤーから強い不満が寄せられていた敵AIの射撃精度や検知挙動に大きな調整が加えられた。対象はスカブやレイダー、ローグ、ボスの護衛など幅広く、プレイヤーを理不尽に追い詰めてきた“過剰な命中力”がようやく抑えられることとなる。

従来の『Escape From Tarkov』はリアルさと高難度を特徴とし、その緊張感こそが多くのファンを惹きつけてきた。しかし直近のワイプ以降、AIの反応速度や射撃精度があまりにも高すぎると話題になっていた。遮蔽物の裏に隠れているにもかかわらず発見されたり、振り向きざまの一瞬でヘッドショットを浴びせられたり、さらには遠距離からの正確無比な射撃で即死させられるなど、プレイヤー側には回避の余地がほとんどない状況が頻発。SNSやフォーラムでも「これはもうエイムボットではないか」と揶揄されるほどで、多くのユーザーにとってストレスとなっていた。

今回のパッチでは、そうした不満を解消すべく、敵AIの挙動が複数の側面で見直された。具体的には、敵がプレイヤーを検知するまでの時間が延長され、一度見失った相手を再び発見するまでの間隔も長くなっている。また、AIが持つ視野角が調整され、不自然な方向から狙撃される理不尽さが軽減されたほか、透過しない壁や障害物を無視してプレイヤーを認識する不具合も修正。さらに重要なのは、敵が最後にプレイヤーを視認してから15秒以上経過した場合、頭部を狙わなくなるという仕様変更だ。これにより、理不尽な即死級のヘッドショットが減り、プレイヤーにとって戦術的な立ち回りがより意味を持つことになる。

これらの調整は多くの敵AIに適用されるが、例外も存在する。たとえばZryachiyやGoonsといった一部のボスは従来通りの鋭い反応速度と広い視野を維持しており、ゲーム全体の緊張感を保つ役割を担う。すべての敵を一律に弱体化させるのではなく、通常AIの不自然さを取り除きつつも、特定の強敵には相応の脅威を残すという形でバランスが図られている。

AI以外の部分でもいくつかの調整が行われた。フリーマーケットの出品枠は最大2スロットに拡大し、経済活動の幅が広がった。また、PeacekeeperとJaegerのLL4におけるアイテムラインナップが復元されたほか、レイドを「Killed in Action」あるいは「Missing in Action」で終了した際に得られる経験値の倍率が上昇し、進行速度にも改善が期待される。

こうした一連の変更は、単に難易度を下げるためではなく、「理不尽な死」と「納得できる死」の線引きを明確にすることを目的としている。開発元のBattlestate Gamesは、11月に迎える正式リリースに向けて、ゲームのハードコア性とリアリズムを維持しながらも、プレイヤーがきちんと戦術を駆使して生き延びるチャンスを確保できる環境を整えたい考えだ。実際、プレイヤーコミュニティからは「ようやく納得できる形で遊べるようになる」と歓迎する声が多く聞かれる一方、「AIが弱くなりすぎて緊張感が失われるのではないか」という懸念も根強い。だが、一部のボスを例外として残した点からも、開発側がそのバランスに慎重であることがうかがえる。

今回のパッチは『Escape From Tarkov』におけるゲーム体験を大きく変える可能性を秘めており、プレイヤーにとっては理不尽さを減らしつつも、シリーズ特有の緊張感を維持する試みとして注目されている。今後、実際のゲーム内でどのような影響を与えるのか、正式リリースでさらなる調整が加えられるのか、コミュニティの反応と合わせて引き続き関心を集めることになりそうだ。

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