『Bloodborne』を60FPSで動作させるMODがソニーインタラクティブエンターテイメントによるデジタルミレニアム著作権法によって削除申請されたことが明らかになった。
このMODはLance McDonald氏が2021年に作成したもので、30FPSでしか動作しないオリジナルの『Bloodborne』をPS4Proのコンソールにて720pの60FPSで動作させることができるようになる。このパッチはネット上で公開されており、これまで本作をプレイする多くのファンがより快適な動作を求め適用してきた。しかし、公開から4年経ったいまソニーインタラクティブエンターテイメントから突如削除申請が届いたことが、MODの開発者Lance McDonald氏本人から明かされ海外メディアを中心に話題となっている。
このMODの存在はもともと2020年にDigital FoundryのLance McDonald氏へのインタビューで初めて公表され、当初は本人が検証のいっかんであると位置付けていたことや、今後PS5にて正式に60FPSに対応することを期待しているとして公開を控えていた。しかし、PS5のリリース以降も本作について次世代版の発売やPS4版のアップデートは一切なく、最終的に本MODが2021年に公開された。さらにこのMODはPC上でPS4版『Bloodborne』を動作させるエミュレータShadPS4の基礎にもなっている。
今回の件で懸念されているのは世界的企業が個人が趣味で開発しているMODに対して削除申請を依頼し、法的根拠によって実際に削除された点だ。PCでビデオゲームを遊ぶゲーマーならよく知る通り、消費者には非商用利用のためにソフトウェアを修正する権利がある。しかし当然ながら企業と個人では圧倒的に非対称であることは間違いない。したがって企業から削除申請が行われた場合、今回のようになるのが常と言っていいだろう。また、今回特に気になる点は昨今、任天堂が行っているのと同じ立ち回りをソニーも行った点だ。ゲーム業界の2大企業が今後もMODに対して削除申請を行うとなればコミュニティが萎縮してしまう可能性も否定できない。
ただし今回の件が必ずしも否定的な側面だけかと言うとそうでもない。今回の削除申請は同時にこれまで『Bloodborne』に目を向けなかったソニーが、ようやく本作に目を向け始めたという確かな証拠でもある。これがリマスターの発売やPC版に関する動きかどうかは定かではないものの、ソニーがフロムソフトウェアを要する角川の筆頭株主になったり、Playstationの30周年記念の動画のラストに本作が登場するなど、本作にとってプラスになりそうな動きが多いのも事実だ。MODの削除申請がコミュニティを萎縮させるためのものではなく、『Bloodborne』を根強く支えるファンにとって魅力的な未来への決定であることに期待したい。