SHARE:

「Steam」新たなハードウェア3種を発表。独自OSを搭載したエコシステムを構築しゲーム市場の席巻を目指す。

「Steam」新たなハードウェア3種を発表。独自OSを搭載したエコシステムを構築しゲーム市場の席巻を目指す。

2025年11月12日(現地時間)、Valveが新たなハードウェアラインナップを電撃発表した。新たに登場したのは3つの新製品「Steam Machine」「Steam Frame」「Steam Controller」だ。

これらは、同社の代表作「Steam Deck」で築いた“ポータブルPCゲーム”の流れをさらに拡張するもので、PCゲームの遊び方そのものを変える可能性を秘めている。

リビングでSteamを楽しむ「Steam Machine」

まず注目したいのが、TV前でPCゲームを快適に遊ぶことを目的とした ミニPC型ゲーム機「Steam Machine」。2014年に一度構想として登場した同名シリーズが、10年の時を経て完全復活を果たした形だ。

CPUにはAMDのZen4系チップ、GPUにはRDNA3世代のセミカスタムGPUを搭載。メモリ16GB、ストレージは512GBから最大2TBまで選べるとされており、Valveによれば「Steam Deckの約6倍の性能」を発揮するという。つまり、最新タイトルをリビングの大画面で“ほぼハイエンドPC並み”に動かせるというわけだ。

SteamOSを採用し、ソファに座って電源を入れた瞬間からSteamライブラリにアクセス可能。PCゲームとコンソール機の中間に位置するような存在で、「デスク前ではなく、くつろぎながらSteamを楽しみたい」というユーザーには理想的なデバイスになるだろう。発売は2026年初頭を予定しており、価格はまだ明らかになっていない。

VRの未来を切り拓く「Steam Frame」

次に発表されたのが、スタンドアロン型VRヘッドセット 「Steam Frame」。コードネーム「Deckard」として噂されてきたこのデバイスは、PC接続なしでも動作する完全ワイヤレス仕様が大きな特徴だ。

搭載チップはSnapdragon 8 Gen3。両眼で4320×2160ピクセルの高解像度ディスプレイを備え、最大120Hz(実験モードで144Hz)というリフレッシュレートを実現。重量も約435gと軽量で、長時間プレイにも配慮されている。

最大のポイントは「スタンドアロンでもPCでも遊べる」二刀流設計。単体でVRゲームを楽しむことも、無線でPCとリンクしてSteamVRタイトルを遊ぶことも可能だ。さらに嬉しいことにSteamOSベースで動作するため、VR以外の通常ゲームもヘッドセット内でプレイできるという柔軟さを持つ。

ストラップやバッテリーモジュールは交換可能で、ユーザーの好みに合わせてカスタマイズできる点も魅力的だ。Valveらしい“ハードウェアの自由度”を感じさせる仕上がりになっている。

入力革命ふたたび「新Steam Controller」

そして3つ目は、新世代の 「Steam Controller」。2015年に登場した初代モデルはユニークなタッチパッド入力で話題を呼んだが、今回はさらに改良を重ね、精度と操作性の両立を目指している。

新モデルでは、磁気サムスティック、トラックパッド、ジャイロ、グリップセンサー、背面ボタンなど複数の入力方式を組み合わせた“全部入り仕様”。Valveによると、バッテリーは35時間以上持続し、Bluetoothおよび独自ワイヤレスドングルでPC・Steam Deck・Steam Machineなど幅広い機器と接続できる。

特に注目なのは、SteamOSと密接に連携する点だ。ボタンマッピングや感度設定などをクラウド経由で同期できるため、どのデバイスでも同じ操作感でゲームを楽しめるようになるという。Steam Deckの設定をシームレスに反映させ、「Steam Machine」で遊ぶといったことも可能になる。まさに「Steamエコシステム全体のハブ」としての役割を担う存在だ。

Valveが描く「次世代のSteam体験」

今回の3製品はいずれも、Steam Deckを中心としたValveのハードウェア戦略を拡張するものだ。携帯型(Deck)、リビング型(Machine)、VR型(Frame)という三方向にSteamの世界を広げ、あらゆるシーンで同じライブラリを共有できる。この統一された体験こそ、今回の発表の最大の意義といえる。

ただし、ベンチマーク結果など具体的な性能の詳細は発表されていない。また、Valve製ハードは日本でのサポートが限定的なことも多く、代理店による販売の詳細や価格に関する情報など続報が待たれる。

とは言え、今回のValveの発表がゲーマーに与えたインパクトは大きいと言って間違いないだろう。「PCゲームをどこでも、どんな形でも遊べる」、そんな理想を現実に近づけようとしているValveの挑戦に今後も目が離せない。

あなたへのおすすめ