任天堂、北米市場で強気の価格改定。販売好調も「高すぎる」とユーザーから声が上がる

任天堂、北米市場で強気の価格改定。販売好調も「高すぎる」とユーザーから声が上がる

2025年6月に発売されたNintendo Switch 2が、全世界で記録的な売れ行きを見せている。発売からわずか4日で350万台以上を売り上げ、任天堂史上最速の販売記録を打ち立てた。8月1日に公開された同社の2026年3月期第1四半期 決算説明資料によれば、発売7週間で600万台以上を販売し、同時発売のソフト『マリオカートワールド』も563万本と驚異的な数字を記録している。

Nintendo Switch 2の販売が好調な同社だが、旧型モデルにあたるNintendo Switchをはじめとする、各種製品の値段を改定すると明らかにした。今回の価格改定は主にアメリカとカナダの北米市場が対象となっており、Nintendo SwitchのBASEモデルで40ドル、Nintendo SwitchのOLEDモデルで50ドル、Nintendo Switch Liteで30ドルの値上げ、なかでもOLEDは399.99ドルと、Nintendo Switch 2の449.99ドルに並ぶ勢いだ。

値上げの背景にあるのはアメリカ政府が昨今導入した関税が大きく関係している。日本製品をアメリカへ輸出した際に15%の追加関税がかかるのはもちろん、そもそもNintendo Switch 2をはじめとする同社製品の一部パーツや周辺機器はベトナムで製造されており、20~30%の関税が課される可能性が浮上している。任天堂公式も今回の価格改定発表に際して、「市場状況や原材料価格、為替などを考慮した調整」と説明しており、めまぐるしく変化する現アメリカ政府の対応によってはさらなる価格改定の可能性も捨てきれないだろう。

いっぽうで、アナリストの中には「Switch 2は価格が高くても売れると任天堂は踏んでいる。事実として初期出荷分は即完売だった。ブランド力と独占ソフトがその根拠になっている」と分析する者もいる。Nintendo Switch 2が史上最速の販売記録を打ち立てたことも、今回の決定の大きな要因の1つとなっているようだ。

今回は主にハードに関する値上げとなったが、今後この価格上昇の流れがソフトに波及する可能性も否定できない。Nintendo Switch 2のソフトは現在でも北米にて80ドルという非常に高額な価格設定で販売されており、すでに消費者から「こんな価格じゃ買えない」「子どもに買い与えられる値段じゃない」といった批判も相次いでいる。一部では不買運動の動きも見られており、今回の価格改定がさらなる追い打ちとなることは避けられないだろう。実際、海外に住む筆者の友人も任天堂製品の価格について嘆いている。彼は熱狂的な任天堂ファンだがNintendo Switch 2は今のところ購入に至っていない。

任天堂はSwitch 2を通じて、「プレミアム体験に対する対価は正当である」とのメッセージを市場に発信している。その戦略は短期的には成功しているように見えるが、今後も長期的なユーザー維持と価格に対する信頼感の構築ができるかは未知数だ。Nintendo Switch 2の売れ行きが好調である一方で、現状はお世辞にも大型タイトルがそろっているとは言えない。フロムソフトウェアから発売予定のダスクブラッドをはじめ、今後投入されるであろうゼルダやメトロイドの新作など、任天堂が同ハードの魅力をさらに引き出せるかどうかが焦点となるだろう。SONYやMicrosoftといったライバル企業も新型ハードや価格競争力のあるサービスを展開しており、今後の動向から目が離せない。

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